こんにちは、バンコクで修業中(@lukehide)です。
「世界シェア100%」「営業利益率40%」「5年で株価40倍」
半導体業界で、これほどまでに圧倒的な数字を叩き出している企業があるでしょうか。その名は、レーザーテック。
最先端EUV露光装置に不可欠な検査装置で世界市場を独占し、TSMCやIntel、Samsungといった世界の半導体巨人たちを顧客に持つ、日本が誇る技術の結晶です。
2020年からわずか2年で株価が37,000円まで上昇し、時価総額は一時2兆円を突破。「日本のNVIDIA」とも呼ばれ、世界中の投資家から熱い注目を集めています。
しかし今、その株価は14,000円台まで下落。この急落は投資機会なのか、それとも地獄の始まりなのか。
AIブームの到来で半導体需要が急拡大する中、レーザーテックの真の投資価値を、業績、技術力、そして株価の観点から徹底解析していきましょう。
会社概要
基本情報
| 社名 | レーザーテック株式会社 |
|---|---|
| 証券コード | 6920（東証プライム） |
| 本社 | 神奈川県横浜市港北区 |
| 設立 | 1960年7月 |
| 従業員数 | 1,017名（連結） |
| 時価総額 | 1兆3,704億円 |
事業内容
半導体製造工程で使用される検査・測定装置の開発・製造・販売を主力事業とし、世界の半導体メーカーに製品を提供しています。
主力製品
- EUVマスクブランク検査装置（世界シェア100%）
- フォトマスク欠陥検査装置
- ウェハ検査・測定装置
売上高構成（2024年6月期）
| 分野 | 構成比 |
|---|---|
| 半導体関連装置 | 85.5% |
| サービス | 13.0% |
| その他 | 1.5% |
株価の現状分析
現在のレーザーテックの株価は14,535円（2025年1月16日時点）と、昨年の高値から大きく調整しています。株価は同日、14,800円で取引をスタートし、14,805円の高値、14,225円の安値をつけ、結局0.5%安で取引を終えています。
主要指標
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| PER（予想） | 17.7倍 |
| PBR | 9.11倍 |
| 時価総額 | 1兆3,704億円 |
| 配当利回り | 1.98% |
アナリスト評価
現在16名のアナリストによる評価の内訳は以下の通りです：
- 強気買い：4人
- 買い：1人
- 中立：9人
- 売り：1人
- 強気売り：1人
アナリストの平均目標株価は24,294円で、現在株価からの上昇余地は約66%となっています。最も強気なアナリストは43,267円、最も弱気なアナリストは18,100円と予想しており、その開きは大きく、事業の将来性に関して様々な見方が存在しています。
業績予想との関係
2025年の業績予想について、アナリストは売上高2,447億円、当期利益764億円を見込んでおり、年率34%の成長が予測されています。これは同業他社の予想成長率11%を大きく上回る水準です。
株価変動要因
現在の株価水準は、以下の要因の影響を受けています：
- 半導体市況の回復期待
- EUV露光装置向けフォトマスク検査装置の独占的地位
- 競合他社の参入懸念
- 1万4,000円台前半が中長期波動の重要なサポートライン
業績の成長力
驚異的な業績推移
| 年度 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年6月期 | 702億円 | 260億円 | 264億円 | 192億円 |
| 2022年6月期 | 903億円 | 324億円 | 335億円 | 248億円 |
| 2023年6月期 | 1,528億円 | 622億円 | 636億円 | 461億円 |
| 2024年6月期 | 2,135億円 | 813億円 | 820億円 | 590億円 |
| 2025年6月期(予) | 2,400億円 | 1,040億円 | 1,040億円 | 740億円 |
高い収益性
営業利益率は38%～43%と極めて高水準を維持しています。これは同業他社と比較しても突出した数値であり、同社の高い競争力と収益体質の強さを示しています。
中期経営計画
新たに策定された中期経営計画では、2030年6月期に向けて以下の目標を掲げています：
- 売上高：4,000億円～5,000億円
- 営業利益率：35%以上
成長を支える要因
AI革命による需要拡大
- 生成AI向けHBM（広帯域メモリ）関連の投資が堅調
- 最先端EUVリソグラフィを用いた半導体製造の能力増強
EV化の進展
- 世界的なEVシフトによるパワー半導体需要の増加
- 脱炭素化の進展を背景とした投資継続
サービス収益の拡大
- 設置済み装置の増加によるメンテナンス需要の成長
- 消耗品交換などの安定的な収益源の確立
株価診断と投資判断のポイント
株価診断の結果
現在の株価14,535円（2025年1月16日時点）に対する理論株価の分析：
| 評価手法 | 理論株価 | 乖離率 |
|---|---|---|
| PER基準（業界平均） | 18,768円 | +29.1% |
| PBR基準 | 18,408円 | +26.6% |
| DCF法 | 22,450円 | +54.5% |
| アナリストコンセンサス | 24,294円 | +67.1% |
バリュエーション指標の詳細分析
| 指標 | レーザーテック | 業界平均 | 評価 |
|---|---|---|---|
| PER（予想） | 17.7倍 | 22.5倍 | 割安 |
| PBR | 9.11倍 | 3.2倍 | 割高 |
| ROE | 45.37% | 15.2% | 優位 |
| 自己資本比率 | 55.8% | 48.3% | 優位 |
| 配当利回り | 1.98% | 1.2% | 優位 |
投資判断に影響を与える要因
ポジティブ要因
業績面
- 過去5年間の年平均成長率30%超
- 営業利益率40%台の高収益性
- 実質無借金経営
市場環境
- AI需要による半導体投資拡大
- EUV露光装置の需要増加
- 半導体製造の微細化進展
競争力
- EUVマスク検査装置で独占的地位
- 高い参入障壁
- 豊富な特許ポートフォリオ
投資判断の提案
投資スタンス別推奨
| 投資スタイル | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 長期投資 | 強気買い | 成長性と収益性の高さ |
| 中期投資 | 買い | 業界環境の改善期待 |
| 短期投資 | 中立 | 株価変動リスクに注意 |
投資戦略の提案
分散投資アプローチ
- 定期的な積立投資
- 株価下落時の買い増し
- リスク分散を考慮したポートフォリオ構築
目標株価の設定
- 保守的目標：18,000円
- 基本シナリオ：22,000円
- 楽観的シナリオ：25,000円
結論
レーザーテックは、現在の株価水準において投資妙味のある水準にあると判断されます。その理由として：
- 複数の株価評価基準から「割安」と判断されている点
- 安定した株主還元政策と9期連続増配の実績
- 高いROEと健全な財務体質
ただし、半導体市況の変動リスクには注意が必要です。長期保有を前提とした投資スタンスが望ましいと考えられます。
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