こんにちは、税金は適切に徴収して欲しいと祈るバンコクで修業中です。
今回は、日本の金融所得課税について国際比較を交えながら詳しく解説していきます。特に注目の米国との比較や、石破政権での方針転換の可能性についても触れていきますので、一緒に見ていきましょう。
国際比較で見る日本の金融所得課税
日本では、株式の配当や譲渡益、預金の利子などの金融所得に対して、一律20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の税率が適用されています。この税率は、所得の額に関わらず一定であるため、「分離課税」と呼ばれています。
日本の金融所得課税を主要国と比較してみると、以下のような状況になっています。
国 | 株式譲渡益 | 配当 | 利子 |
---|---|---|---|
日本 | 20.315% | 20.315% | 20.315% |
アメリカ | 0-20% | 0-20% | 10-37% |
イギリス | 10-20% | 7.5-38.1% | 0-45% |
ドイツ | 26.375% | 26.375% | 26.375% |
フランス | 12.8% | 12.8% | 12.8% |
アメリカの金融所得課税を詳しく見る
アメリカの金融所得課税制度は、日本と比較してより複雑で、所得水準や保有期間によって税率が変動する特徴があります。
株式譲渡益と適格配当
アメリカでは、株式譲渡益と適格配当に対する税率が所得水準に応じて変化します:
- 所得39,375ドル以下:0%
- 所得39,376ドル~434,550ドル:15%
- 所得434,551ドル以上:20%
さらに、高所得者には3.8%のNet Investment Income Tax(NIIT)が上乗せされる可能性があります。
利子所得
利子所得に関しては、通常の所得税率(10%~37%)が適用されます。これは日本の一律20%と比較すると、より累進的な課税方式と言えます。
長期保有と短期保有の区別
アメリカの特徴的な点として、資産の保有期間による税率の違いがあります。1年以上保有した資産の譲渡益は長期キャピタルゲインとして優遇税率が適用されますが、1年未満の場合は通常の所得税率で課税されます。
考察:日本との比較
アメリカの金融所得課税制度は、以下の点で日本と大きく異なります:
- 累進性: 所得水準に応じて税率が変化し、高所得者により高い税率を課すことで、税の公平性を追求しています。
- 長期投資の奨励: 長期保有資産への優遇税率適用により、長期的な投資を促進しています。
- 複雑性: 日本の一律課税に比べて複雑ですが、これにより個々の状況に応じたきめ細かい課税が可能になっています。
アメリカの制度は、投資家の行動に大きな影響を与える可能性があります。例えば、長期投資を促進することで、市場の安定化や企業の長期的成長に寄与する可能性があります。一方で、制度の複雑さは納税者の負担増加につながる可能性もあります。
日本の「1億円の壁」問題
日本の金融所得課税で問題視されているのが、いわゆる「1億円の壁」です。
これは、金融所得に対する税率が一律20.315%であるため、年間所得が1億円を超えるような高所得者の実効税率が、それ以下の所得者よりも低くなってしまう現象を指します。
この問題に対処するため、2025年から「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置」(いわゆる富裕層ミニマム税)が導入されることが決まっています。これにより、年間所得が30億円を超える超富裕層に対して、一定以上の税負担を求めることになります。
石破政権での方針転換
自民党総裁選では激論が交わされました?
石破茂新総理は就任後、金融所得課税や経済政策に関して以下のような発言をしています:
- 金融所得課税について:
石破総理は就任記者会見で「貯蓄から投資への流れがさらに確実になるように努力していく」と述べ、岸田政権の資産運用立国を目指す政策を継承する姿勢を示しました。新NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)への課税強化は考えていないとも明言しています。 - 経済政策全般:
「賃金を上げていくことが、一番即効性がある」と発言し、賃上げ促進を重視する姿勢を示しています。また、デフレ脱却を最優先とした投資を進める方針も示しており、成長戦略は岸田路線を基本的に継承する見通しです。 - 財政規律:
石破総理は過去3代の自民党政権よりも財政規律を重視する可能性が高いとされています。これは日本の中長期的な財政の維持可能性という観点から期待できる点と言えます。 - 金融政策:
日本銀行の独立性を尊重する姿勢を示しつつも、植田日銀総裁との会談後に「現在は利上げをするような環境だと思っていない」と発言し、金融政策の正常化に慎重な姿勢を示しました。
まとめ
石破政権下での経済政策は、基本的に岸田政権の路線を継承しつつ、いくつかの点で独自色を出そうとしている様子が伺えます。金融所得課税の強化については当初懸念されていましたが、就任後の発言では「貯蓄から投資へ」の流れを止めないよう配慮する姿勢を示しています。
賃上げ促進や成長戦略については岸田路線を踏襲する一方で、財政規律の面ではより慎重な姿勢を示す可能性があります。これは中長期的な財政健全性の観点から、海外投資家の信頼を高める効果があるかもしれません。
金融政策に関しては、日銀の独立性を尊重しつつも、利上げに慎重な姿勢を示唆しており、今後の金融政策の方向性に影響を与える可能性があります。
総じて、石破政権は劇的な方針転換というよりは、既存の政策の微調整と財政規律の強化を図りつつ、日本経済の構造的な課題に取り組もうとしている印象です。労働市場のタイト化や人口動態の変化といった根本的な経済構造の変化に対応しながら、持続的な経済成長を目指す姿勢が見て取れます。
今後も石破総理の発言や政策の具体化に注目が集まることでしょう。経済政策の詳細や実際の効果については、さらなる情報や時間の経過を待って判断する必要があります。
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コメント
フランスと比較すると税率は高くないですか?
投資家さん、ご指摘のとおりです。タイプミスですので修正いたしました。引き続き、ご指摘のほどよろしくお願いします。
ご説明ありがとうございました。指摘というつもりではなく、「フランスには実は隠れた税金が!」みたいな知らない情報を期待しておりました(笑
フランスの金融所得課税は勉強中ということにさせて下さい… 引き続き、ご支援の程お願いします。