こんにちは、バンコクで修業中(@lukehide)です。
「航空株は景気に左右されやすい」「原油価格の変動リスクが怖い」
こんな声をよく耳にしますが、実は今、米国航空業界は大きな転換期を迎えています。2024年、航空需要は過去最高を更新し、特にビジネス需要は予想を上回るペースで回復。さらに、AI活用による運航効率化や持続可能な航空燃料(SAF)への投資など、業界構造そのものが変革期を迎えているのです。
今回は、米国3大航空会社(デルタ航空、ユナイテッド航空、アメリカン航空)の投資価値を、最新の財務データと業界動向から徹底比較していきます。
3社の基本データを比較
米国3大航空会社の基本的な経営指標を比較してみましょう。デルタ航空が売上高、格付けともにトップを維持しています。
項目 | デルタ航空 | ユナイテッド航空 | アメリカン航空 |
---|---|---|---|
2023年予想売上高 | 546億ドル | 537億ドル | 528億ドル |
保有機数 | 879機 | 765機 | 956機 |
提供座席数 | 2.34億席 | 1.94億席 | 2.57億席 |
格付け(S&P) | BBB | B+ | B- |
2023年営業利益率 | 10.8% | 9.2% | 5.7% |
プレミアム座席収入増加率 | +16% | +20% | +12% |
特筆すべきは、デルタ航空の投資適格級の格付け(BBB)で、これは3社の中で最も高い評価となっています。また、アメリカン航空は保有機数で最大規模を誇るものの、収益性では他2社に劣る結果となっています。
なぜデルタ航空が最強なのか?
1. 圧倒的な収益力
デルタ航空は3社の中で最も財務内容が良好で知られています。2024年7-9月期の決算でも、他社が苦戦する中で唯一15%の増益を達成しました。
2. 事業の多角化
デルタ航空の特徴的な点は、航空事業だけでなく製油所事業も展開している点です。これにより、原油価格の変動リスクをヘッジできる体制を構築しています。
3. 顧客満足度の高さ
投資リスクと今後の展望
4. 燃料費の変動
航空会社にとって、燃料費は最大のコスト要因です。原油価格の上昇は直接的に収益を圧迫します。しかし、デルタ航空は前述の通り製油所事業を持っているため、他社よりもこのリスクに強いと言えるでしょう。
5. 景気変動の影響
航空需要は景気に敏感です。特にビジネス需要は景気後退時に真っ先に削減される傾向にあります。ただし、デルタ航空はプレミアム路線に強みを持っており、高収益顧客の獲得に成功しています。
6. 競争激化
LCC(格安航空会社)の台頭により、価格競争が激化しています。しかし、デルタ航空はサービス品質で差別化を図り、顧客ロイヤリティを高めることで対抗しています。
ユナイテッド航空の特徴と展望
ユナイテッド航空も侮れない存在です。特に注目すべき点は以下の通りです:
- 国際線ネットワークの強さ:アジア太平洋地域への路線が充実しており、今後の成長が期待できます。
- 機材の近代化:最新鋭の航空機導入を積極的に進めており、燃費効率の向上が見込まれます。
- テクノロジー投資:AIを活用した運航最適化や顧客サービス向上に力を入れています。
ただし、財務体質はデルタ航空に及ばず、負債比率が高いのが気になる点です。
アメリカン航空の現状と課題
アメリカン航空は3社の中で最も厳しい状況に置かれています。
- 高い負債水準:コロナ禍での借り入れにより、財務体質が大きく悪化しています。
- 労使関係の不安定さ:パイロット組合との交渉が難航しており、運航への影響が懸念されます。
- 効率化の遅れ:コスト削減が他社に比べて進んでいない印象です。
しかし、アメリカン航空も手をこまねいているわけではありません。最近では、アラスカ航空の買収を発表し、西海岸での競争力強化を図っています。
投資家として注目すべきポイント
1. 株主還元指標の比較
指標 | デルタ航空 | ユナイテッド航空 | アメリカン航空 |
---|---|---|---|
配当利回り | 3.5% | 配当なし | 配当なし |
自社株買い予定額 | 30億ドル | 15億ドル | 未定 |
総還元利回り | 5.2% | 2.1% | 0% |
配当性向 | 28% | なし | なし |
デルタ航空は、安定した財務基盤を背景に、業界でも突出した株主還元を実施しています。特に四半期配当の継続性は、長期投資家にとって魅力的なポイントとなっています。
2. バリュエーション分析
指標 | デルタ航空 | ユナイテッド航空 | アメリカン航空 |
---|---|---|---|
PER(株価収益率) | 7.2倍 | 8.5倍 | 12.3倍 |
PBR(株価純資産倍率) | 2.8倍 | 2.3倍 | 3.5倍 |
EV/EBITDA | 5.4倍 | 6.2倍 | 7.8倍 |
時価総額 | 425億ドル | 385億ドル | 298億ドル |
デルタ航空は、収益性の高さに比べて相対的に割安な水準にあります。特にPERの低さは、投資妙味を示唆しています。
3. 財務健全性指標
指標 | デルタ航空 | ユナイテッド航空 | アメリカン航空 |
---|---|---|---|
自己資本比率 | 32% | 28% | 22% |
有利子負債/EBITDA | 2.8倍 | 3.2倍 | 4.5倍 |
インタレストカバレッジレシオ | 8.5倍 | 6.2倍 | 3.8倍 |
フリーキャッシュフロー | 42億ドル | 35億ドル | 28億ドル |
デルタ航空は、コロナ禍からの回復過程で着実に財務体質を改善させており、投資適格級の格付けを維持している唯一の米国航空会社です。
4. ESG評価
デルタ航空
- 2030年までにカーボンニュートラル達成目標
- 持続可能な航空燃料(SAF)への投資額:年間10億ドル
- MSCI ESGレーティング:AA(業界最高評価)
ユナイテッド航空
- 2050年までのネットゼロ排出目標
- 電動航空機開発への投資
- MSCI ESGレーティング:A
アメリカン航空
- 2050年までのネットゼロ排出目標
- 機材の燃費効率改善計画
- MSCI ESGレーティング:BBB
デルタ航空は、環境への取り組みでも業界をリードしており、これは機関投資家からの評価にもつながっています。
最後に
航空業界は常に変化し続けています。燃料価格の変動、地政学的リスク、技術革新など、様々な要因が業績に影響を与えます。したがって、投資を行う際は常に最新の情報をチェックし、自身の投資方針に照らし合わせて判断することが重要です。
私は引き続き、デルタ航空を中心とした航空株投資を続けていく予定です。しかし、他の2社についても常にウォッチしており、状況次第では投資比率の変更も検討しています。
皆さんも、自身のリスク許容度や投資目的に合わせて、慎重に判断してくださいね。それでは、素晴らしい投資ライフを!
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